| 武神 何時の時代かとても大きな戦争があった。 ある者は己の信ずるものの為に。 ある者は大切なものを守る為に。 ある者は私欲の為に。 それぞれ理由は違えど、人は戦っていた。 自分達の存亡を賭けた最悪な戦争を。 敵は……魔物と呼ばれる人外の者達。 人は戦った。 しかし徐々に押され始めた。 魔物達の力の前では人は無力に近かった。 それでも人は戦い続けた。 仲間の死を背負い、ひたすら敵を討つ。 その者達を容赦なくその力で葬り去る異形の者達。 人々は絶望し自分達の種族の滅亡を垣間見た。 日本沿岸島方面守備隊防衛ライン 「く、こいつら…どこからともなく沸いてくるぞ!」 「相手は魑魅魍魎クラスか…群れは狙い難くて困る」 月日輝く夜中の12時前。 コンクリート製の壁で囲まれた漆黒の闇に包まれた砂浜にいる2人の男女の兵隊。 壁に隠れ女性の兵隊は拳銃を海に這い出てくる何かの群れに銃口を向け発砲し牽制。 残りの男性は軍刀を居合いの構えで何時でも斬れる様にしておく。 「他の生き残りは!?」 「気配は私達以外感じられない……恐らく全滅だろう」 「ここまで来て…死んでたまるものか!」 「同感だ、私もお前も帰りを待つ者達がいる。死に場所はここではない」 女性は弾の無くなった拳銃に弾込めして身構える。 男性も壁の端に斬りこめる様に移動する。 「……3・2・1で行くぞ」 「了解、残り物は任せろ」 「頼むぞ……3…2…1今だっ!!」 合図とともに男性は海に出てくる何かへ向けて駆け出す。 女性は壁の上から拳銃を両手で握り、同じく何かへ向けて発砲を開始。 何かが海に完全に這い出た時、その姿を現した。 どす黒く禍々しい3本の角が頭に生えた兎みたいな魔物。 だが大きさが尋常ではなかった。 どれもこれもゆうに3mを越す巨体。 それが群れを成して2人に迫る。 「一意専心! でりゃあああああっ!!」 駆けていた足をさらに加速させ突進するように先頭にいた1匹に接近し抜刀。 目の前の黒い巨体が横に真っ二つした。 「まだまだぁーっ!!」 止まらず次に向かってきた怪物達に斬りかかる。 まさに鬼神の如き姿。 すると男が怪物の群れを相手している間に別の群れが砂浜に進行してきた。 「!? 頼んだぞ!!」 「任せろ!」 男性の呼び声に答え女性は引き鉄を立て続けに引き続ける。 放たれた銃弾全てが怪物達の額部分に命中。 怪物達は次々と力尽き倒れていく。 その後ろから濁流のような勢いで止め処なく現れる怪物達。 その流れを止めようと奮戦する2人の兵隊。 戦いは長く続いた…… 「一刀両断っ!!!」 「最期だ」 ズバァァァァン!! ドォォォォォン!! 真っ直ぐに縦に伸びた一刀を怪物に浴びせ、そして最後の銃弾でその息の根を止める。 2つとなった死骸が倒れる。 男性と女性の身体はボロボロで至る所に切り傷と打撲跡があり、血が蛇口の水のように流れていた。 「はぁ…はぁ…はぁ……どうやら…喰い止めた…ようだな」 「ぜぇ…その…ぜぇ…ようだ…な」 ドサっ 疲れ切った身体を砂の地面に倒す2人。 力が入らない。 「俺達…初めての…生き残り…だな」 「運が良かった…だけかも…しれんぞ?」 今まで魔物を相手にしてきた人間全ては生きて帰ってこなかった。 その状況下で2人生き残り、尚且つ怪物の群れを全滅させたのだ。 2人の疲労はピークに達していた。 「少し…休むか…」 「…そうは…いかんようだぞ」 「?……な!?」 女性が無理して身体を起こしたのを見た男性は、その背景に映った光景に驚いた。 先程2人が倒した怪物達の死骸が一箇所に集まり、新たな怪物が誕生したのだ。 全長約15mはあらんとする先の怪物を更に巨大化したような怪物。 だが死骸が集まってできたもののせいか、身体の数箇所の部分が腐乱化している。 それのせいで禍々しさが更に増しているように2人は感じた。 こちらに牙を剥き出しにして唾液を汚く垂らしながら2人に迫る。 「…こんな所で…終わるか…」 「だが…これでは…どうしようもない」 血で赤く染まった軍刀を杖のようにして力の入らない身体を起こす男性。 女性の持っている拳銃の弾は尽き、打つ手はない。 それは男性にも言えることでもあった。 「…冥府に逝く時…のようだな…我が友よ」 「…俺は冥府に逝く以前に…死後の世界に逝けるかね?……俺無宗教だしな」 「フ…まったくそのとおりだ」 2人は他愛ない会話を交わしてお互い笑みを浮かべる。 死ぬ覚悟ができてしまったようだ。 怪物が大口を開け2人を飲み込もうとする。 2人は抵抗せず、両目を閉じる。 世界が真っ白と化した。 とある世界で… 「マスター」 「分かっている…場所は?」 「B−471区域です」 「行くぞ」 「はい」 |
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